足部の「締まり」と「緩み」のポジションについて ~ピラティス的評価の視点~

今回は、ピラティスでお客様の足部を評価する際に重要となる「締まりのポジション」と「緩みのポジション」について解説します。

■ 締まりのポジション(回外位・ハイアーチ)

締まりのポジションとは、足部が外側に荷重されている状態、いわゆる回外のポジションです。ハイアーチ(甲高)に多く見られ、実際に私自身の足もこのタイプです。

<甲高・締まりすぎた足へのアプローチ>

アーチが高すぎる場合は、アーチを意図的に“崩す”練習が必要です。

ピラティスでは、リフォーマーを活用し、踵のみをフットバーに置いて足関節を背屈位に保ちつつ、アーチの動きをコントロールしていきます。

特にこのタイプの方は、外側への過剰な荷重が見られ、股関節からの純粋な外旋がうまくできていないことが多いです。

そのため、

  • 荷重を踵の内側に乗せる感覚
  • 股関節からの正しい外旋

を引き出しながら、足のアーチを柔軟に使えるように導いていきます。

なお、体幹の支持性が弱く、股関節外旋の感覚がわかりにくい方には、体幹から優先的にアプローチする方が効果的ですが、実際には体幹と足部の両方に同時に働きかけることで、相乗効果が期待できるケースも多く見られます。

■ 緩みのポジション(回内位・扁平足)

緩みのポジションとは、足部が内側に荷重されている状態、つまり回内のポジションです。いわゆる扁平足に該当します。

<扁平足・緩みすぎた足へのアプローチ>

このタイプには、まず体幹の安定性を高めることが重要です。

インナーユニット(腹横筋・多裂筋・骨盤底筋・横隔膜)がしっかり機能してくると、舟状骨の引き上げが促され、自然とアーチの感覚が掴みやすくなります。

実際、体幹を活性化させるだけで、1回のレッスンでも足部にアーチの意識が入る方も多く見られます。

また、アーチの形成を助けるためには、股関節の外旋を引き出すことが鍵となりますが、内旋や内転筋群の過活動がある場合は、その緊張をストレッチ等で緩めつつ、少しずつ外旋筋・外転筋の働きを高めていく必要があります。

立位で中殿筋など外転筋群を使えるように導くことも、次のステップとして大切です。

まとめ

足部の「締まりすぎ」「緩みすぎ」は、それぞれに特徴的な代償動作や筋バランスの崩れを引き起こします。

ピラティスでは、足部の評価と共に股関節と体幹の連動性に着目することで、根本からの改善が期待できます。

足部の状態に合わせた段階的なアプローチを行うことで、より質の高い動きへとつながっていきます。

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